ツァイ・ミンリャン(蔡明亮)監督が初めてVR(仮想現実)技術を用いて製作した作品「家在蘭若寺」が、イタリアで開催中の「第74 回ベネチア国際映画祭」で、VR作品を対象としたコンペティション部門にノミネートされています。同作は海外の映画評論家から高い評価を得ているのです。ツァイ監督によると、同作品は同映画祭のディレクターを務めたマルコ・ミュラー氏の声掛けを受けて作られたということです。話を聞いて興味を持ったものの、関わってみると頭を悩ませることが多く、すぐに諦めたくなったということです。当初はVRの画質は超現実的で、自身が思い描く美しさが表現できなかったと語るツァイ監督です。後に技術的な問題は克服されたものの、投資者が出資を引き上げるなどのトラブルも発生しました。最後にはスマートフォン大手のHTCの出資を得ることができ、完成にこぎ着けたということです。今後もVR作品を撮影するか尋ねられるとツァイ監督は「資金と創作のスペースを下さい。それから(台湾人俳優の)リー・カンション(李康生)も」と語っていました。