背景には、総務省が2月2日に公表した、「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン(案)」の抜け穴があります。有識者会議のメンバーを務めた野村総合研究所の北俊一・上席コンサルタントは、「ソフトバンクとauが大穴を見つけて、実質ゼロ円を始めたからだ」と憤るのです。ガイドライン案には「下取りは端末購入時の値引きに当たらない」とする一文が盛り込まれていました。ソフトバンクとauはこの点を突いたのです。実質ゼロ円と書かれたポスターをよく見ると、端末を2万円弱~3万円弱で下取ると明記されています。ショップ店員は「画面が割れていなければ、アイフォーン以外でも同額で買い取ります」と語っています。しかし、高額な下取りと合わせて実質ゼロ円とするのは、ガイドライン案と矛盾しないのか。北氏は「端末値引きを適正な水準に抑え、販売の実態を健全化しようとする主旨から著しく懸け離れている」と指摘します。本誌の取材に対し、ソフトバンクとKDDIは、「ガイドライン案に沿ったもので、問題ないと考えている」と回答したのです。一方のドコモは「実質ゼロ円を下回らないようにしている」と回答。実質ゼロ円を復活させているのですが、学割や家族割を合わせ、しかも2台同時契約の場合という条件です。2社とは異なり、下取りを含めたものではない。その意味でガイドライン案の穴を突いたものではなさそうです。