MVNOはアンテナや基地局、基地局間をつなぐ光ファイバーのネットワークをキャリアから借りています。そのため、災害によってこれらキャリアの設備が損壊することになれば、キャリアと同様に通信が行えなくなるのです。このような障害は、特定の地域ごとに発生するものです。アンテナ・基地局の障害の場合周囲数百メートルから数キロ、光ファイバーの場合はさらに広域に影響が出ることがあります。キャリアの設備の被災状況については、キャリアの障害情報が参考になるでしょう。一方、これらの設備に損傷がなかった場合でも、通話や通信に影響が出ることがあります。これは主に通信の集中による混雑が原因となります。災害直後には通話・データ通信が急増するのです。これが交換機やルーターなどの通信機器の能力を超えてしまうと電話がかからなくなったり、通信速度が低下したりという現象が発生します。この現象は通話とデータ通信で事情が異なってきます。災害発生直後には携帯電話に限らず固定電話も含めて、被災地を中心に緊急通報(110番、119番、118番)や、安否確認のための通話の利用が殺到します。殺到した通話が電話交換機の能力を超えると、あふれた分は通話ができなくなります。それがひどくなった状況を「輻輳(ふくそう)」と呼んでいます。輻輳状態になってしまうと交換機が本来の能力を発揮することができなくなり、ますます混雑に拍車をかける場合があるのです。さらに、被災地での輻輳が他の地域にも波及することで、より広域の電話網が機能不全に陥る可能性があります。