指紋や顔貌、瞳の虹彩など、人間の身体的特徴を個人認証に利用する生体認証の技術が、近年、様々な分野で実用化されてきました。オフィスなどの入退場時の本人確認に顔認証システムが導入されたり、虹彩認証によりユーザーが画面を見つめるだけでロックが解除されるスマートフォンがリリースされたりしています。また、銀行では、口座名義人の指静脈情報を事前にICキャッシュカードに登録し、ATMの認証装置で利用者の指静脈画像と照合することにより本人確認できる生体認証サービスが普及しているほか、2016年2月には、イオン銀行が、キャッシュカードの挿入や暗証番号の入力などを一切要さず、指でタッチするだけで銀行取引ができる指紋認証システムの実証実験に着手しました。生体認証は入出国管理にも活用されはじめています。オーストラリアでは、移民省(DIBP)が、9億3,700万豪ドル(約806億円)を投じ、生体認証による”パスポート不要”の自動化出入国管理システムを導入する5カ年計画「Seamless Traveller(シームレス・トラベラー)」を2015年5月に発表しました。2017年7月以降、キャンベラ国際空港などで実証実験を行ったのち、2019年3月までには、オーストラリア国内全ての国際空港に新しい出入国管理システムが導入される見込みだといいます。